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大川正君の容貌は、わかい時分にはどこかハウプトマンに似ていて、あれほど苦味ばしつてはいなかった。妙なことですが、そんな風に感じただけを1寸いつておきたいのです。それから大川正君は1蝶や其角を小説の主人公に捉へて來たが、

工場の觀覽は我我煙草好きには甚だ興味深い筈のものだったが、結局割に單純な『曉』の製作課程を見せられただけで、殊に自分は横濱の博覽会でその中心部分を既に見た事があるので、全く期待はづれの始末だった。而も、ついうつかりと生温い空気のむつとした煙草葉乾燥室へはいった刹那、輕い喘息の發作を誘發され、あとになつて今日は珍しく用心深く携へて來たアストオル吸入器が役に立つような羽目になつてしまった。

……吉村氏のような文学者と彼女が交際してるのは、大変床しい立派なことであり、今後の日本婦人は、知情意全般に亘る教養を高めなければならないので、彼女などもその方面に大に働いて貰いたい。今度出来た自分たちの政党は、知識階級を背景とするもので、婦人参政権を主張する恐らく唯1の政党であろう。

この2つがどれも科学的な道徳観念でないということは、道徳を社会科学的に考察して見ればよく判ると思うので、従って唯1の科学的な道徳観念は社会科学的道徳観念だと考えた。これが第3の観念である。

自分にとって、波多野氏の方から誘惑したとかどうとかいうことは窮極の問題ではない。誘惑というものは、あって無いものだ。誘惑される主体さえ無ければ。

今日の理科的また文科的なアカデミシャンに見られるこういった専門家振りは、いうまでもなくアカデミシャンとしての生活を保証するところの1種の職業組合が、産んでいる意識なのだが、そうだとすれば、前にいったあの積極的な意味での専門家、即ちその独自の職業によってその生活の根幹が発育するという形での専門家と、ものは同じものに他ならぬのであって、つまり専門家という意味には、こうした真実な意味と莫迦げた意味とがあるということなのだ。丁度職業にも、社会的リアリティーとしての意義があると同時に、職業的賤しさがあったと同じに。

寫せたところでそれが必ずしも價値のあるものではあるまい。

『なぜ漢学をおやりですか。』

7時頃和木清3郎から電話。明日の久保田万太郎夫人の告別式にお辭儀役の件、勿論そのつもりでいたので謹んで承諾する。〇2時過ぎまで讀書。戸外に雨音が聞え出した。

だがこれで凡ての道徳観念が悉されるのではない。道徳が問題になるのはいつも自分というものの日常行動思想が課題になるからだ。他人の行動ばかりを問題にしたがる日本人的お節介道徳は道徳ではなくてむしろ反道徳だろうが、併しそういう出来損い現象も、つまりわが身に引きくらべて他人の身の上をとや角いうのである。1つの自己弁解である。……そうすると道徳の観念も単に社会科学だけでは片づかないものがあるということになって来る。なぜなら社会科学では個人というものや個人の個性やを論じることはカテゴリー上常に可能だが、併しそのままでは、銘々の自分の我性に基く活動を論じるのに足りない点がある。この我性という銘々の自分の1身上の課題を解き得るような立場に立つことによって初めて、道徳の最後の科学的・ビジネススタイル的・観念が得られると思うが、ところがこうした立場は恰も文学する立場なのだから、私はこれを文学的な道徳観念と呼ぶことにした。これが第4の観念である。しょせんモラルとはこれでなければならぬのだ。

ところが実際には、決してただの心情に止まる○○はないのである。個人の修養を標榜するように見える修養○○も、実は忽ち社会的闘争からの脱却を説いたり、社会的不幸の正当化を説教したりせざるを得まい。

オナベモピカピカ

それが当局の左翼弾圧の強化の結果である転向風景が点出されることによって、更に政治的に裏づけられた。中でもジャーナリズムに於けるこの復興景気に貢献したのは、左翼文壇の文学キャピタゼーション−『文学キャピタゼーション』−的モラルへの『転向』であって、少なくともジャーナリズム上の○○復興は、この文学ジャーナリズム上のモーラリズムの動きと切り離しては考えられない。

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